history
ヒストリー
Chapter 1
店主、
ケーキの幸せに目覚める。
私が生まれ育ったふるさとは、大自然に囲まれた阿蘇郡小国町です。
実家の2軒隣には、小国ジャージー牛を育てている厩舎があって、子どもの頃から小国ジャージー牛乳をゴクゴク飲んで育ちました。
時は流れて自然児だった私も大人になり、高校卒業後は料理の道へ。「和食の本場で働くぞ!」と京都に移り住み、接客と調理を学びました。
その後は「魚も捌けない料理人なんて」と鮮魚店に飛び込んだり、フレンチ、イタリアン、居酒屋、いろんなお店で経験を積んだり…
武者修行の日々が続くなか、出会ったのがデザートという世界でした。デザートは、若いスタッフが最初に仕上げを任せてもらえる仕事です。お皿に美しく盛って、カウンターから差し出すデザートが大好きでした。
どんな料理よりも大きな歓声が上がり、誰もが笑顔を見せてくれる。自分の技術や工夫で、目の前の人を幸せにできる。それが甘いもの。
Chapter 2
遅咲きだったからこそ、
見つけた強み。
日常に小さな幸せをお届けできるような、ケーキ職人を目指したい。そう決めた私は、日々の仕事の合間を縫って修行先を探し始めました。
休日の度に気になるケーキ店をめぐり、ひたすら食べ歩いたのです。自分が本当に美味しいと思える店、素敵だと思える店で修行したい。
その一心で探し当てたのが、福岡の名店「ストロベリーガーデン」でした。そのとき私は既に26歳、同期の見習いパティシエたちは10代の若者です。
若い頃からケーキ一筋の人には、追いつけないかもしれないという不安…。辿り着いた結論は「技術はシンプルに、材料は極上のものを」でした。
お菓子の美味しさを決めるのは、職人の技術と素材の品質、鮮度です。どこよりも新鮮な材料で、どこよりもフレッシュなケーキを作ろう。ピンチだと思ったからこそ、見つけることができた強みでした。
その強みは、今の「乳菓子屋」にもしっかりと生かされています。
Chapter 3
働く人も幸せにできる
お店って?
4年間の修行期間を終えた私は、熊本でプリン専門店を開きました。約2.5坪の小さなちいさなお店が、乳菓子屋のはじまりです。最初はプリンで名前を知ってもらって、いつかは立派なケーキ店に!
夢に向かって閉店後にチラシを配り、夜な夜な開発に励むこと3年。ついに、水前寺に憧れのケーキ店をオープンすることができました。
楽しそうにケーキを選ぶ、子どもたちのキラキラした瞳と笑顔。大切な記念日を、乳菓子屋のケーキでお祝いしてもらえる喜び。お客様の“小さな幸せ”をお手伝いできるよう、全力疾走の毎日です。
そして今、株式会社になった乳菓子屋は新しい挑戦を始めています。これまで、労働環境が厳しい製菓業界では実現が難しかった待遇を。若い社員も、自分の意見やアイデアをカタチにできる仕組みづくりを。かつての店主のように、独立を夢見る若者の力になれる制度を。
多くの恩恵を受けている故郷・小国郷に出店し、雇用の創出を…。
お客様だけではなく、働く人や、地域の人々まで幸せにできる、そんなお菓子屋さんになれたら。いや、きっとなるんだ。
力を貸してくれるスタッフと、支えてくれるお客様とともに乳菓子屋は、これからも真っ直ぐに歩いていきたいと思います。